目次

はじめに

遺産の配分をめぐっての肉親同士のもめごとに頭を悩ませているといった訴えなど、相続の問題は、昔からさまざまな形で取りあげられてきました。こういった問題にテレビや新聞を通して触れるとき、「なーに、相続でごたごたするなんて、お金持ちの贅沢な悩みだ」と、無関心ばかりでいられるでしょうか。

   今日、私たちを取り巻く状況は急激に変わりました。ご存知のように、いわゆるバブル期、大都市からわき起こり、地方にまで広がつた土地価格の急騰は、著しく土地・家屋の資産価値を高めました。それまではさほどの値打ちがなかったものが、一気に大変な資産として人々に認識されるに至りました。大都市のわずかな敷地の家屋敷や商店が、あるいは都会では家が建てられなくなったため田舎の田畑が、がぜん相続権を持つ人たちのホットな目を集めるようになつてきました。

   つまり、今日の相続問題は、ごくふつうの人たちの切実な問題であるのです。ここに現代の相続の複雑さがあります。都会の猫の額のような土地の相続をめぐって兄弟が争ったり、これまで実家の農地に関心を払わなかった兄弟たちが分割を要求したり・・・。まさに相続は古くて、しかも新しい、時のテーマなのです。

   このホームページでは、最低限度身につけておきたい相続の基本知識を紹介しながら、一歩踏み込んで、実際にどんなことが相続では問題になるのかを取りあげ、その解決のヒントを示してみました。もちろん相続には様々なケースがありますから、一概に論ずることはできません。また、相続問題の解決で肝心なのは、相続権を持つ者同士が納得の行く話し合いをすることで、これに勝るものはありません。このホームページが皆さま方の将来に備えた、一つのより所になればと、心より願っております。

相続する権利がある者とは

遺産を受け継ぐことができる人として、まず法定相続人があげられます。法定相続人とは法律で定やられた相続の権利を有する人で、配偶者と血縁の人たち(被相続人の子・直系尊属・兄弟姉妹)に大きく分けられます。

配偶者・・・配偶者とは婚姻関係にある夫婦の一方のことで、夫にとっては妻、妻にとっては夫をさします。配偶者は婚姻届さえ出ていればたとえ別居中でも相続権があります。また、いくら夫婦のような関係にあっても、婚姻届のない内縁関係の場合は配偶者とは認められず相続人にはなれません。

・・・実子は、すでに結婚していて、籍が別になっていても男女に関わりなく相続権があります。父母が離婚した場合は、子は離婚した両親の双方の相続人になります。また、養子も実子と同様に相続人になります。養子は実家の親の相続人にもなります。ただし、特別養子(原則として六歳未満の子を養子とするもので、実親より養親による養育が子の利益になる場合に認められる養子縁組)の場合は不可

直系尊属・・・父母、祖父母、曽祖父母などをさします。直系尊属が相続人になれるのは死んだ人に子も孫もいないケースのみです。親等の近い者が優先的に相続人になります。

兄弟姉妹・・・死んだ人に子も孫も直系尊属もいない場合、その人の兄弟姉妹が相続権を持ちます。結婚して戸籍を移した者も養子に行った者もこの中に入ります。


これら法定相続人のほかに、遺産を受け継ぐことができるのは次の人たちです。

○遺言によって指名された者・・・受遺者

○法定相続人にも受遺者にも該当する人がいない・・・家庭裁判所に被相続人と特別の縁故があったことを申し立て、それを認められた者(特別縁故者)

孫も相続人になる−「代襲相続人」

孫も相続人となるときがあります。たとえば祖父(被相続人)の遺産を継ぐべき父親(子)が相続開始以前に死亡していたり、父親が相続欠格になったり相続人から排除されたなどの要件にあてはまるときです。

誰にどれだけ相続分が?

民法では相続人の相続順位を次のように定めています。


相続人が配偶者と子のケース
配偶者が全遺産の2分の1を、子が2分の1を相続します。子が複数いるときはこの2分の1を均等に分けます。子が3人いれば子1人あたりの相続分は全遺産の6分の1になるわけです。ただし、非嫡出子は嫡出子の2分の1となります。


被相続人に子がいないケース
配偶者が全遺産の3分の2を、直系尊属が3分の1を相続します。配偶者がいなければ直系尊属が全遺産を相続します。


被相続人に子も直系尊属もいないケース
配偶者が全遺産の4分の3を、兄弟姉妹が4分の1を相続します。兄弟姉妹の相続分は原則として均等に分けます。ただし、父母の一方が異なる場合の兄弟姉妹の相続分は、父母双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1となります。


相続財産とは

相続の対象となる遺産は、土地や預貯金といったいわゆるプラスの遺産ばかりではありません。故人の借金などのマイナスの遺産もその対象となるのを忘れてはいけません。
プラスの遺産
土地・建物、現金、預貯金、株式、公社債、ゴルフ会員権、家財道具、書画骨董、立木、牛馬、船舶、自動車、貸付金の債権、貸家・貸ビルの家賃・地代、売掛金、受取手形、商品、著作権、特許権、営業権、損害賠償請求権、商標権、借地権・借家権など。
マイナスの遺産
借金、債務、損害賠償金など。


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