「不動産登記規則等の一部を改正する省令案」に対する意見

当会は、令和7年8月5日、別紙「不動産登記規則等の一部を改正する省令案」に対する意見を下記のとおり法務省民事局に提出しました。


1.意見

本改正案に、賛成する。

2.賛成の理由

理由 ⑴

改正の趣旨につき、同意見である。

理由 ⑵

総務省の資料から、不動産登記受付帳の情報開示請求が年々増加していることが確認できる。

これは、受付帳の「登記(申出)の目的」及び「不動産所在事項」の記載をもとに不動産登記事項証明書等を調査して、相続登記等がされた物件の所有者を特定し、その者に対して不動産売却等の勧誘が行われる事例が増加していることと関係があると考えられる。

受付帳がこのように利用されている状況は、受付帳の本来の制度趣旨から逸脱した状況であることはもちろんであるが、そのような状況を知らない国民の立場からすると、登記を申請した事実が直ちに自分の知らないところで漏洩していると考え、不安や不信感を抱く可能性が高い。

相続登記を行ってからほどなく不動産売却の勧誘が行われたケースで、登記所や相続登記の申請代理を行った司法書士から情報が漏洩したのではと疑われた事例が複数確認されており、登記制度及び司法書士制度に対する信頼を揺るがす状況が、既に現実に生じているといえる。

相続登記が義務化され、相続登記に対する国民の意識が高まってきた中で、このような状況が続けば、国民に相続登記の申請を躊躇させる要因となるだけでなく、登記制度そのものに対する信頼が失われるきっかけにもなりかねない。

このような状況はもちろん放置されるべきではなく、受付帳から「登記の目的」及び「申出の目的」並びに「不動産所在事項」が削除されることにより、本来の制度趣旨から逸脱した受付帳の情報開示請求に一定の歯止めがかかることが期待できると考える。


                                              令和7年8月5日
                                               長野県司法書士会

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